
最近、急に吠えたり怒ったりするようになった…

年のせい?それとも病気?
突然の変化は戸惑う方も多いです。

年を取った犬が、今まで大人しかったのに急に怒るようになると、飼い主として非常に不安になりますよね。
今回は、こんなお悩みを解決していきます。

こちらのポイントに沿って、お伝えしていきます。

獣医師パパ監修の元、詳しく解説しますので安心して読み進めてくださいね。
犬が急に怒るようになった5つの原因|老犬に起きる変化

まず、「犬が急に怒るようになる」のは、必ずしも性格が突然変わったわけではなく、身体や感覚、脳などに変化がある兆候であることが多いです。
早めに原因を推測し対応することで、無用なトラブルやストレスを避けやすくなります。

一緒に学んでいきましょう!
老犬が急に怒るようになった原因
①痛み・不快感
- 関節炎や腰痛などの慢性的な痛みが攻撃的な反応の引き金になる
- 歯の痛みや口腔トラブルも、触られることへの過敏反応を引き起こす
- 消化器・内臓の異常など、目に見えにくい不快感も原因になりやすい
- 動きがぎこちない、寝起きに時間がかかるなどの変化に注目
- 触診で嫌がる部位があれば、獣医師に相談を
痛みや不快感は、老犬にとって「自分の身を守るべき脅威」として認識されがちです。
結果として、攻撃的な態度に出ることが多くなります。
老犬が急に怒るようになった原因
②感覚器の衰え
- 視力が落ちると、目の前に突然現れる物や人に驚いて怒る
- 聴力の低下により、声や音に反応できず、突然の接近にパニックになる
- 嗅覚が衰えることで周囲の状況把握が難しくなり、不安を感じやすい
- 手を伸ばしただけで噛む、暗所での徘徊などが事例として多い
感覚の衰えは、老犬にとって「予測できない世界」になります。
そのストレスから、怒りやすくなるのです。
老犬が急に怒るようになった原因
③認知機能低下(認知症傾向)
- 記憶障害により、家族の顔や状況を一時的に認識できない
- 昼夜逆転、夜間の徘徊や吠えなどの症状も合わせて出る
- 同じ場所をぐるぐる回る、混乱して怒るなどの行動も目立つ
- 声をかけられても反応が遅れ、驚きによる攻撃行動が出やすい
認知症は「犬の性格が変わった」と誤解されがちですが、脳の機能低下による自然な変化です。
早期の対応がカギとなります。
老犬が急に怒るようになった原因
④環境変化・ストレス
- 家具の配置変更や引越しなどの空間の変化がストレスに
- 来客や生活音の増加で、常に緊張した状態になる
- 他のペットの存在や家族構成の変化に敏感になる
- 生活リズムの変化にも適応しにくくなる傾向がある
老犬は「いつも通り」に安心を感じます。
その安定が崩れると、不安が怒りという形で表れやすくなるのです。
老犬が急に怒るようになった原因
⑤要求・コミュニケーション
- トイレや水、散歩の要求をうまく伝えられず、吠えたり怒ったりする
- 撫でてほしい、構ってほしいといった甘えが攻撃行動になることも
- 日々の観察から「何をしてほしいのか」を想像して応えることが大切
言葉を持たない分、行動で伝えようとします。
老犬の怒りは、単なるわがままではなく、必死のサインであることが多いです。
急に怒るようになった老犬に起きる変化を事前に理解しよう

老犬に見られる身体的・精神的な変化を正しく理解することで、怒りやすくなった背景を読み取れるようになります。
犬の場合、10歳(人間に換算すると50代後半)を超えたあたりから認知症の症状が現れ始め、13~14歳ぐらい(人間に換算すると70代半ば)から急増します。
大型犬では8歳を過ぎたころから、小型犬では10歳を過ぎたあたりから対策が必要です。

認知症の症状が出ない子もいますが、飼い主として老犬の変化は事前に理解しておくことが大切です。
老犬に起きる変化
①筋肉・関節・運動機能の低下
- 筋肉量が減り、動きがぎこちなくなる
- 関節が固くなり、段差や階段を避けるようになる
- 痛みを伴う動作を嫌がり、怒りで表現することも
運動能力の低下は、生活全体のストレスを増やし、怒りっぽさにつながることがあります。
老犬に起きる変化
②感覚機能の衰え
| 感覚 | 老化による影響 | 行動への影響 |
|---|---|---|
| 視覚 | 視野が狭くなる・ぼやける | 突然の接近に驚きやすい |
| 聴覚 | 呼びかけに気づかない | 近づかれると驚いて噛むことも |
| 嗅覚 | 匂いの識別が鈍くなる | 周囲の把握ができず不安に |
感覚の変化は外界とのズレを生み、不安や混乱が怒りのトリガーとなることがあります。
老犬に起きる変化
③脳機能・認知面の老化
- 前頭葉の機能低下により、感情のコントロールが難しくなる
- できていたことが突然できなくなることで、自信喪失や混乱が起こる
- 記憶の混乱により、日常のルーティンに異常行動が現れる
脳の老化は、行動パターンや感情に大きく影響を与える要素です。
老犬に起きる変化
④生活・行動パターンの変化
- 睡眠が浅くなり、夜中に活動=徘徊行動が増える
- トイレのタイミングがずれ、失敗が増える
- 食欲や活動量の波が大きくなる
このような日常行動のズレが積み重なり、精神的な疲労や怒りやすさに繋がることがあります。
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老犬に起きる変化
⑤精神的・情緒的な変化
- 不安感や孤独感が増し、敏感な反応を見せるようになる
- 音や動きに対する恐怖心が強くなる傾向
- 飼い主との距離感が変わり、過剰な警戒を見せることも
安心できる環境が少なくなることで、攻撃的な態度が現れやすくなります。
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Q&A:老犬が怒るようになったことに関するよくある質問

最後に、実際によくある飼い主さんの悩みをQ&A形式で解説していきます。
Q1:老犬になってから噛むようになるのはなぜ?
A:痛みや感覚の衰え、認知機能の低下が原因で、警戒心が強くなっている可能性があります。
噛む行動の背景に「不安」や「混乱」があるケースも多いため、無理に触らず慎重に対応しましょう。
Q2:犬が触ると怒るようになったのですが…
A:触れた部分に痛みや違和感がある可能性があります。
関節や皮膚、内臓疾患などが隠れている場合も。嫌がる箇所が特定できたら、動物病院での診察をおすすめします。
Q3:犬が落ち着きがない…老犬にはどんな対策がありますか?
A:環境を静かで落ち着いたものに整える、生活リズムを一定に保つなどが有効です。
また、認知機能の衰えが背景にある場合もあるため、獣医師に相談してサプリメントや療法食の検討も良いでしょう。
Q4:老犬の気性が荒くなるのは性格の問題?
A:性格の変化ではなく、脳の老化や体の不調が原因のことが多いです。
怒りの裏に「苦痛」や「不安」が潜んでいることを前提に接すると良いでしょう。
Q5:老犬が凶暴化した時はどうすれば?
A:まずは安全確保を最優先にし、刺激を与えないようにしましょう。
状況をメモして獣医師に相談し、必要に応じて検査や認知症ケアを受けることが大切です。
安易に叱るのは逆効果になることもあります。
Q6:犬や老犬が狭いところに入る意味は?
A:狭い場所は安心感を得やすいため、老犬がストレスを感じている場合に見られる行動です。
不安のサインと捉え、落ち着ける環境を整えることが重要です。
まとめ:犬の老化や変化に気付いてあげよう
老犬が怒りっぽくなるのは「性格の問題」ではなく、多くの場合は加齢による身体・感覚・認知面での変化が背景にあります。
日々の小さな変化に気づき、必要に応じて獣医師に相談しながら、愛犬の安心できる生活環境を整えていきましょう。
変化を見逃さないことが、愛犬のQOLを守る第一歩です。
